日本のSAPが海外に出て行かない理由は、こういったFacebookの投資回収の悪さにあるのだろう。小さなスタートアップ企業がおいそれとは手を出せないとも言える。
が、しかしだ。それでもFacebook上でアプリケーションを提供する意味はある。「やってみなければわからない」とは西條氏の弁だが、たとえば、マーケットの幅広さを理解するのには役に立つ。Facebook上で英語で提供するAmebaPicoだが、実際の利用者は、英語圏が1位だが、2位はフィリピン、3位はインドネシアということだ。
この経験をもとに、フィリピンやインドネシアに現地向けサービスとして提供すれば、まだ開拓されていない市場を大きく手中に収められる可能性がある。「英語圏のサービスをリトマス試験紙として、独自のマーケットを開拓できる。フィリピンやインドネシアの国民的サービスとなれば、その市場は大きい」(西條氏)
また、世の中の表面に出ている数字の乖離も、実際にやってみないと気がつかないという。Ameba Picoは5月下旬に登録者数が100万人を超えたが、その時点でFacebook上に表示されていた月間アクティブユーザーは150万人とかけ離れていた。こういった乖離した数字の一人歩きが日本からの参入を尻込みさせているのではないかと西條氏は指摘する。たとえば、Facebook最大のSAPであるZyngaの人気ゲームもFacebook上に表示されるほどには月間アクティブユーザーはいないのではないかとも同氏は指摘する。
いまは湧く日本のソーシャルアプリ市場も飽和に向かう。いずれ広告合戦でしかユーザーの獲得が難しくなってくる。多くのSAPもやがては市場開拓のために海外に出ざるを得ない。そのとき、Facebook(あるいはスマートフォン)というプラットフォームはさけては通れなくなる。Ameba Picoはその試金石となるだろう。